虹の彼方へおじ散歩 ~ 王子の桜は様々な輝きを見せてくれました ~
もう東京の桜は散り始め・・・。
おそらく今週末が見納めになるのではないだろうか?
こうなる事を予測し、先週の半ばに桜の花を愛でるために都内でも有数の花見の名所を巡ってきた。
その場所は北区王子。 今回は北区王子をめぐる『おじ散歩』だ。
スタートはJR王子駅から。
JR王子駅
JR王子駅ホームまで飛鳥山の桜達が出迎えてくれる。 やはり王子は桜の宝庫。
その桜の下を列車が通り過ぎてゆく。 この時期でないと見られない光景だ。
春を感じる。 長い冬がようやく過ぎ去り、のどかで暖かい季節の訪れ。
世の中の状況はまだまだ靄がかかっている感じがするが、この瞬間だけは気が晴れる。
王子には桜の名所が何カ所も点在する。
この日はその内の数カ所を巡るつもりだ。
さあ『おじ散歩』のスタートである。
名主の滝公園
桜を愛でる散歩の最初の地に選んだのは『名主の滝公園』。
JR王子駅から徒歩7~8分ぐらいの所にある。
武蔵野台地の突端である王子近辺には滝が多く、かって『王子七滝』と呼ばれる七つの滝があったそうだ。そのうち現存するのは『名主の滝』だけであり、ここは都内でも有数の8メートルの落差のある『男滝』を中心に4つの滝からなる。
現在は男滝だけしか稼働してないようだが、本日は桜を楽しむ散歩なので男滝まで行く事はない。
公園入口にある池を見下ろす様に桜の木が大きく張りだしている。
池の水面には桜の花達の姿が映り、桜の木は大きな花輪を創り出し訪問客を迎えてくれる。
桜を愛でるおじ散歩は静かなスタートとなった。
この名主の滝公園から直ぐの所にあるのが『王子稲荷神社』。
ここが桜の名所訪問先の二カ所目となる。
王子稲荷神社
『王子稲荷神社』は民話「王子の狐火」や落語の「王子の狐」でも有名な神社である。
境内に大きな桜の木が咲き誇っている。 残念ながらこの時はまだ7分咲き。 満開まではあと少しだ。
ご利益をいただくために桜の木が社を参拝するかのように枝を垂れている。
普段は信仰心とは程遠い私だが、桜の木に倣ってお参りをさせていただく。
桜の暖かく和やかなエネルギーが体内に入り込み、身も心も清らかに濯がれたような気がする。
ここから再び王子駅前にもどり、桜巡りのおじ散歩を再開する。
まずは駅前から延びる『音無親水公園』を散策だ。
音無親水公園
北区のこの辺りには小平市の東部を源にして隅田川に注ぐ石神井川が流れており、この付近ではここを『音無川』と呼び、古くから春の桜・夏の青楓と滝あび・秋の紅葉など四季の行楽の名所、景勝の地として住民に親しまれていた。
昭和30年代から始まった石神井川の改修工事に伴い石神井川がショートカットされ、残された旧流路を整備して作られたのが『音無親水公園』である。
つまり古来から現在まで長きにわたり桜の美しさを伝えてきたところなのだ。
しかも「日本の都市公園100選」にも選ばれている。
都内では100選に「国営昭和記念公園」「日比谷公園」「上野公園」「水元公園」「代々木公園」が選ばれており、この地はこれらの名立たる公園と肩を並べているのだ。
歴史の重みと時代の変遷を感じる公園である。
桜の花びらもそんな時の流れを映し出しているようだ。
音無親水公園に別れを告げ、旧岩月街道下のトンネルをくぐったあたりから石神井川に沿った遊歩道にでる。
この石神井川の遊歩道沿いも桜並木が圧巻の風景を作り出している。
その桜並木を楽しみながら歩を進めていく。
石神井川沿いを10分少々歩いただろうか? 紅葉橋通りを渡ったところに『金剛寺』がその姿を見せる。
金剛寺
ここも桜の木で彩られている。
桜はどんなところも美しく着飾ってくれる。 綺麗だ。
ここも桜の名所の一つと数えていいのではないだろうか?
そしてその金剛寺が見下ろしているところが『北区立音無もみじ緑地公園』である。
音無もみじ緑地公園
ここは石神井川の護岸工事の際に蛇行していた川の部分をワンド(川の入り江)として残し、一帯を公園として整備したところ。 すり鉢状になっており川岸まで降りる事が出来る。
ワンドは川から入ってきた魚が養殖できるようになっており、魚の他に水鳥なども観察できる。
昔は紅葉の名所として有名だったこともあり『音無もみじ緑地公園』と名付けられたが、現在ではむしろ桜の名所として知られこのシーズンは一番の賑わいを見せる。
この日は平日の午前中という事もあり人影はまばらだが、ベンチで読書をする方もおられのどかな春の一時を感じる。
この公園の先にも『北区立中央公園』など桜の名所はまだまだあるが、ここはひとまず音無もみじ緑地公園を折り返し地点として王子駅を目指しながら桜の名所を巡る事にする。
石神井川沿いの遊歩道を進み『音無親水公園』が近づいたところで遊歩道をはずれ南方面に折れる。
目的地は『醸造試験所跡地公園』だ。
ここは国の重要文化財『旧醸造試験所第一工場』に隣接する公園である。
醸造試験所跡地公園
『醸造試験所』は醸造方法の研究や清酒の品質を改良する事などを目的に明治37年に創立された国の研究機関だ。
赤煉瓦の荘厳な姿が芝生と桜の花に溶け込み美しい景観を創り出している。
この公園には遊具は一切なく、ただ芝生が拡がるだけ。
そこに美しい桜が赤煉瓦を背景にその存在感を示す。 花見の場所としては最高ではないだろうか。
地元民の隠れた桜の名所となっているのがよくわかる。
ここを後にして国道122号線にでる。
そこに現れるのは王子一番の桜の名所、というかシンボルとして存在する『飛鳥山公園』だ。
飛鳥山公園前の国道122号線には都電が通る。
都電荒川線
その都電荒川線を飛鳥山の桜をバックに撮るために『撮り鉄』の面々が歩道橋の上に群がっている。
かく言う私も先程まではその仲間であったのだが・・・・。
今現在はその歩道橋を渡り『飛鳥山公園』に降り立っている。
いずれにしろ都電と桜は絵になると思う。 どうだろうか?
『飛鳥山公園』は明治6年に日本最初の公園の一つに指定されており、国の重要文化財の渋沢栄一の旧邸があるなど由緒ある公園である。
そして何と言っても桜の名所としてその名が轟いている。
その飛鳥山公園は平日の午前中にもかかわらず結構な人出であった。
飛鳥山公園
ここは休日ともなると凄い人だかりになるのだろう。
今まで巡ってきた王子の桜の名所とは比較にならないぐらいの人の多さである。
やはりここは王子の桜のシンボルだ。
混雑を回避するために、桜を愛でるのは早々にして退散する事にしよう。
飛鳥山公園には外せないもう一つのシンボルがある。
それは『あすかパークレール』だ。
これを使って飛鳥山を下りる事にする。
あすかパークレール
『あすかパークレール』は飛鳥山公園入口と飛鳥山山頂を結ぶモノレールである。
高低差18m、レール延長48mを2分で結んでいる。
車両がカタツムリの形に似ていることから『アスカルゴ』という愛称で呼ばれている。
その車両の写真をとる事を忘れたのはご愛嬌とされたし。
飛鳥山モノレールを降りて驚いた。
このモノレールを利用するために大勢の人々が列をなしているのだ。
飛鳥山公園は午後にかけてますます賑わうようだ。
飛鳥山公園は桜の季節で賑わった後、紫陽花のシーズンを迎える。
ここは紫陽花の名所でもある。
5月に再びこの地を訪れる事にしよう。
ここまでで約12000歩。
本日の桜を愛でる『おじ散歩』は終了である。